水素治療

酸素と活性酸素とミトコンドリアの関係


 

 私たちが生きていく中で必要不可欠な物質として「酸素」があります。空気の成分である酸素が無ければ呼吸ができず、私たちは生命活動ができません。呼吸によって得られた酸素は体内に取り入れられ、栄養素を燃焼させる細胞の働きによってエネルギーへと変えられます。その過程の中で「活性酸素」という物資が生まれますが、活性酸素は老化や病気の原因と考えらています。


ミトコンドリア
ミトコンドリア

 さらに詳しく説明しますと、私たちの体内(細胞)には「ミトコンドリア」という器官が存在します。ミトコンドリアは体内に取り入れられた栄養素を、生きていくために必要なエネルギーに変えます。しかしながら、生命活動に必要なエネルギーを作り出すと同時に「活性酸素」も副反応として作ります。発生した活性酸素の中で、「悪玉」活性酸素といわれる物質が、遺伝子、細胞、組織を破壊し、それによる機能障害が数々の疾患を引き起こします。また、活性酸素が過剰に発生すると老化や発がん腎障害、動脈硬化、白内障などの促進に繋がります。


活性酸素には「悪玉」と「善玉」がある

  悪玉活性酸素は呼吸でのみ増加するのではなく、化学物質、紫外線、農薬など、周囲の様々な環境要因や日常生活 喫煙やストレスによっても活性酸素は増加します。「悪玉」活性酸素は様々な悪影響を体に及ぼすことが分かってきました。悪玉活性酸素によって細胞が攻撃されると、細胞膜の脂質が酸化して、細胞が栄養と老廃物の出し入れをスムーズにできなくなり劣化していきます。また、細胞の核の遺伝子が傷つけられて、細胞の変異、死滅することもあります。

 

劣化の自覚症状について、皮膚の場合は「何となく肌のツヤがなくなった」という症状が早い時期から気付きますが、血管の劣化は無症状の時期が長く、症状が出たときには動脈硬化(血管のサビ・錆)の疾患として症状として出てきます。つまり、少し走っても息が切れるなどの心臓疾患(狭心症・心筋梗塞)、下半身が冷える・しびれるなどの足の血管の詰まり(閉塞性動脈疾患)などの症状が認められます。

 

悪玉活性酸素は目につきやすいですが、活性酸素には、「悪玉」活性酸素の存在と同時に、殺菌やガン抑制などに役に立つ「善玉」活性酸素も存在することを忘れてはいけません。それゆえ、活性酸素を全部消去・抑制するというのはいい考えでないことが分かります。予防医療・アンチエイジングにおいて大切なことは、体内で起きる酸化、悪玉活性酸素だけを除去することです。


水素のもつ力

 コエンザイムQ10、フラボノイドなど多くの抗酸化物質は、悪玉・善玉を区別せずにすべての活性酸素を除去しますが、水素は悪玉の活性酸素を選択的に除去・無害な水に変化させ、尿として体外に排出させます。つまり、水素は、免疫力を高める善玉活性酸素には作用せずに、悪玉活性酸素のみを攻撃する理想的な抗酸化物質です。また、水素は分子が圧倒的に小さいので、体の隅々まで届いてその抗酸化を発揮してくれます。

 

水素にはもう一つ重要な働きがあります。それは、ミトコンドリアの活性化です。活性化されたミトコンドリアは、エネルギー産生が効率化し、疲れにくい体に調整し、脳にたくさんのエネルギーを運びます。さらに、体の代謝も上げてくれるため、ダイエットやエイジングケアにも効果が期待できます。水素点滴によって全身に届けることは、身体を錆びつかせ、老化や生活習慣病、がんなどの元凶である悪玉の活性酸素を減らし、血管内皮機能や動脈硬化の改善が期待できます。また、美肌や抗加齢などの表面的な美容面だけではなく、疲労回復や血流促進、体力向上などの効果にも繋がり、「美容」と「健康」を改善に期待できます。

 

悪玉活性酸素を抑制するために注目されてきたのが「水素治療」になります。水素点滴とは、水素を微細な気泡にし、直接血液内に注入する点滴です。その水素の濃度を限りなく高めた水素治療では、水素を直接体内に取り込み、水素がもつ抗酸化や抗炎症などの作用によって、老化や体の不調などの要因となる悪玉活性酸素を除去します。つまり、老化の3大原因である酸化・糖化・炎症を除去することで、病気予防、老化予防などになるといわれています。水素点滴では、多くの病気や老化の原因である活性酸素を除去する抗酸化作用が強力であり、またこの点滴の大きな特長は副作用がないことがわかりました。

 

 

 



治療効果の期待できる疾患

○脳神経疾患

アルツハイマー、パーキンソン病、脳梗塞、脳梗塞後遺症

○循環器疾患

心筋梗塞、動脈硬化、閉塞性動脈硬化症、バージャー病

○骨関節疾患

変形性関節症、関節リウマチ、肩こり、腰痛

○代謝性疾患

糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満

○肝疾患

アルコール性肝炎、B型肝炎、C型肝炎、脂肪肝

○炎症性疾患

リウマチ、潰瘍性大腸炎等の炎症性疾患、膠原病、その他の自己免疫性疾患

○その他

がん、肺線維症、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、アレルギー疾患、

心肺停止からの蘇生、透析障害、アンチエイジング等

 

その他…がん治療との併用や抗がん剤の副作用軽減に期待できます。

※水素には活性酸素を除去、がんの増殖や転移を抑え、がん細胞内のミトコンドリア機能を復活させ、細胞死を促す作用がある。

※水素には酸化LDLを低下させる働きがあり、動脈硬化、脳梗塞などの循環器疾患や活性酸素が関与するアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患への応用が考えられています。

 

健康的な体を維持していくためには、老化を促進させる悪玉活性酸素を抑制し 体が錆びていかないようにしていくことが大事です。

若々しく健康的な生活を維持するためにも 水素点滴の強力な抗酸化力は、効果的です。


水素点滴の頻度

エイジングケアの場合:月に1〜4回

疾患の治療の場合:週に1回もしくは2週間に1回

水素点滴は保険適応外となるため自費診療です。

副作用

当院では重篤な副作用は見受けられません。しかし、以下の副作用が予想されます。

 

①点滴・注射などにおける針刺しにおける合併症

 

未承認医薬品等であることの明示、入手経路等の明示

本治療に用いる未承認医療機器は、医薬品医療機器等法上の承認を得ていないものですが、「医師等の個人輸入」により適法な輸入許可を得ています。

日本では、未承認医療機器を、医師の責任において使用することができます。

未承認医療機器についての情報「個人輸入において注意すべき医薬品等について」もご覧ください。

 

国内の承認医薬品等の有無の明示

本治療に使用できる同一の性能を有する他の国内承認医療機器はありません。

水素点滴のメリットとデメリット 最後に

水素点滴のメリットは、強力な抗酸化作用を持つ水素を直接体内に取り込めることです。

血流を介して水素が運ばれるため、全身でその作用が手軽に期待できます。

そして最大のメリットは、上記の「副作用」にもあるように、目立った副作用がほぼ無いことです。このことは非常に重要で、例えば現在治療中の疾患があったとしても悪化させる恐れはほとんど無く、薬にも影響を与えません。

 

デメリットとしては、これらの効果に対してエビデンス(根拠)が少ないことです。

2020年現在、下記で示す引用文献のように、水素を利用した治療法や効果についての論文は世界中で多く発表されていますが、まだまだ証明されている部分が少ないのも事実です。

 

今後の方針

当院では、水素点滴における医師主導型の臨床研究を行う予定としております。対象となる方に随時説明を行っていきます。ご興味・ご関心のある方は、ご連絡ください。

 

引用論文

動脈硬化に関する論文

・水素水により動脈硬化が抑制された

学術雑誌名:Biochem. Biophys. Res. Commun., 377(2008), p1195-119
表題:Consumption of hydrogen water prevents atherosclerosis in apolipoprotein E knockout mice(水素水はアポリポ蛋白Eノックアウトマウスで発症する動脈硬化を防ぐ)

 

・認知機能の低下予防作用

学術雑誌名:Neuropsychopharmacology,(2008), 1-8(電子版)
表題:Consumption of Molecular Hydrogen Prevents the Stress-Induced Impairments in Hippocampus-Dependent Learning Tasks during Chronic Physical Restraint in Mice(分子水素摂取がマウスの慢性的身体拘束によって誘発される海馬依存性の学習能の障害を予防する)

 

・塩分感受性ラットの老化による心臓・腎臓障害を改善

学術雑誌名:Med. Gas Res. 2013, 3:26
表題:Amerioration of cardio-renal injury with aging in dahal salt-sennsitive
Rats by H2-enriched electroryzed water(水素豊富電解水は塩分感受性ラットの老化による心臓・腎臓傷害を改善する)

 

・急性脳梗塞患者に対する水素豊富水の静脈内投与の安全性

学術雑誌名:Med. Gas Res. 2013, 3:13
表題:Safety of intravenous administration of hydrogen-enriched fluid in patients with acute cerebral ischemia: initial clinical studies
(急性脳梗塞患者に対する水素豊富水の静脈内投与の安全性:初期臨床試験)

 

抗炎症作用についての論文

・腸内細菌由来の水素は肝炎を防御する

学術雑誌名:Biochem. Biophysi. Res. Commn., 386(2009), 316-321(電子版)
表題:Hydrogen from intestinal bacteria is protective for Concanavalin-A induced hepatitis. (腸内細菌由来の水素はコンカナバリン-Aで誘発される肝炎を防御する)

 

・分子状水素の抗炎症作用:寄生虫で誘起した肝炎に関する研究

学術雑誌名:Life Sci. 324(2001) p729-714)
表題:Anti-inflammatory properties of molecular hydrogen: Investigation on parasite-induced liver inflammation(分子状水素の抗炎症作用:寄生虫で誘起した肝炎に関する研究)

 

・水素投与により、リウマチ患者の疾患活動性が減少

学術雑誌名:Med. Gas Res.2012, 2:27
表題:Consumption of water containing a high concentration of molecular hydrogen reduces oxidative stress and disease activity in patients with rheumatoid arthritis: an open-label pilot study(高濃度分子水素含有水投与によりリューマチ患者の酸化ストレスと疾患活動性が減少する:非盲検試験)

 

・水素豊富水のミトコンドリア性及び炎症性筋疾患に対する臨床効果

学術雑誌名:Medical Gas Res., 2011, 1:24 doi:10.1186/2045-9912-1-24
表題:Open-label trial and randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover trial of hydrogen-enriched water for mitochondrial and inflammatory myopathies(水素豊富水のミトコンドリア性及び炎症性筋疾患に対する臨床効果を非盲検試験及び無作為二重盲検試験をプラセボと対照としてクロスオーバー試験により実施)

 

・分子状水素は酸化ストレスを抑制して、ミトコンドリア病を改善

学術雑誌名:Biochim. Biophys. Acta, doi:10.1016/j.bbagen.2011.05.006
表題:Molecular hydrogen is a novel antioxidant to efficiently reduce oxidative stress with potential for the improvement of mitochondrial diseases(分子水素は酸化ストレスを効率的に抑制する新たな抗酸化剤としてミトコンドリア病を改善する)

 

・放射線治療の副作用を予防

論文掲載雑誌名:Medical Gas Research 2011, 1:11  doi:10.1186/2045-9912-1-11
表題:Effects of Drinking Hydrogen-Rich Water for Quality of Life of the Patients with Radiotherapy for Liver(ドクター・水素水の飲水により放射線治療をしたガン患者の副作用が軽減)

 

生活習慣に関連する論文

・メタボリック患者のコレステロール代謝を改善
学術雑誌名:J. Lipid Res. 2013 Apr 22.
表題:Hydrogen-rich water decreases serum low-density lipoprotein cholesterol levels and improves high-density lipoprotein function in patients with potential metabolic syndrome(水素豊富水は潜在的なメタボリックシンドローム患者の血清LDL(悪玉コレステロール)を低下し、HDL(善玉コレステロール)機能を改善する)

 

・AGEs(糖化産物)生成が抑制される 学術雑誌名:Med. Gas Res. 9 July 201
表題:Hydrogen-rich water inhibits glucose and α,β-dicarbonyl
compounds-induced reactive oxygen species production in the SHR.Cg-Leprcp/NDmcr rat kidney(腎臓における糖とその代謝物に由来する酸化ストレスに対する水素豊富水による抑制効果)

 

その他
・白内障の改善
・1回換気量の増加(肺)
・尿中の8-OHdG(DNAの酸化劣化損傷マーカー)が低下
・血圧が低下(降圧剤の量が減った)など


■水素治療の現状 最新情報
心肺停止後の水素吸入療法が、厚生労働省の先進医療Bとして承認
該当ページ
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html
先進医療技術名:水素ガス吸入療法
適応症:心肺停止後症候群(院外における心肺停止後に院外又は救急外来において自己心拍が再開し、かつ、心原性心停止が確定されるものに限る。)
技術の概要:成人院外心停止後患者のうち、自己心拍再開後も昏睡が持続する患者を対象とし、集中治療室で18時間2%水素添加酸素を人工呼吸器下に吸入する。
この間、ガイドラインに準拠した集中治療を行う。
主要評価項目は90日後神経転帰良好の割合とし、副次的評価項目は90日生存率、生存期間、 modified Rankin Scale(mRS),GCS,およびMini-MentalState Exam (MMSE)とする。

診療時間

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